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2008年1月24日 (木)

第3話 死の不安、そして心身統合整体へ

東京で開業して3年目の頃、私生活のごたごたや自信喪失から整体の夢を見失い、心と体のバランスが崩れ始め、腰痛や動悸や不眠と様々な症状に悩まされた。
 

朝、目が覚めるとため息をつき、仕事やめてどこかぶらっと行きたいな思うことが多くなった。それでも整体をしている最中は緊張感は保っていたが、次第にそれもままならなくなり、気分のすぐれない日は予約を断るようにした。

このままじゃまずいと思ったが、自分の力ではどうしようもないところまできていた。
 

精神科の入り口で、入ろうかとどうしようかと10分ぐらい悩み立ち往生してたときウインドーに映った自分の姿に、とてつもなく怒りがこみあげてきた。
 

「何やってんだ、かっこうつけて生きてきたつもりでもこのざまだ。本当は弱いくせに見栄ばっかりはって、なんて情けない奴なんだ」
 

情けない自分自身に腹の底から怒りがこみ上げ、それが頂点に達したとき自分の中の深いところにあったエネルギーを感じた。

「よし、俺は整体師だ。独力で自分の心身を生体実験しながら治してみよう。ダメになったらそれが寿命だと思えばいいじゃないか」
 

今まで逃げていた自分と向き合う決心がようやくついた。 

 

独学で精神分析や自己催眠、座禅、ヨガ、自律訓練法や呼吸法など、さまざまなものにトライした。

自己分析をしていると同じ考えが堂々巡りし、よけいにつらくなる。堪えられないときはあびるほど酒を呑んで寝た。

朝、二日酔いで起きると何度もトイレにしゃがむ。二日酔いってこんな苦しかったのかと後悔し、健康が大事なことが身にしみる。

こうしてひとつひとつが勉強になっていった。

 

休日は山登り。

登山道からはずれた静かなところで一人瞑想すると心が癒されていくのがわかった。

土の上に直接寝ころぶと、大地の温かさとやすらぎを感じた。

風は包み込むように流れ、沢の水が体のすみずみまで浄化してくれる。鳥が周りに集まりさえずる。

人間は自然の中の一部なんだ。
 

自然に癒され、自分と向き合うことで自信を取り戻し始め、少しずつ心身が回復してきたとはいえなかなか本調子にはなれなかった。

東京という大都会で、”孤独な死 ”という恐怖感もあった。

「アパートに帰っても一人、整体院でも一人、一人で死ぬのが怖い。」

そんな漠然とした不安がいつもどこかにあった。 

「死」 人間の一番の恐怖の根元だ。

頭では、そんなことで悩んでもどうしようもないことはわかっているのだけど、どうしてもその不安が頭から離れなかった。
 
 

夜、ろうそくの炎を見ながら半眼の瞑想を毎日つづける。炎をじっと眺めていると心の奥が温かくなり、不安やよけいな考えが消えていった。

「一人で死のうが死んでいるんだから関係ない。それより生きている内に自分の経験を生かし、心や体のことで悩んでいる人の役に立て。」
 

魂の声をようやく聞けたとき孤独な死に対しての不安が消えていった。

身体ばかり見ていた整体師は、心と体のつながりを身をもって経験し、心と体の統合をめざす心身統合整体という道を歩み始めた。
 

夢を取り戻し、自分には弱さも強さもあることを素直に認められたとき、迷いぶつかりながらでも思い切り人生を生きていこうと思うことができた。

そしたら無性に人が恋しくなった。

生きている内にいっぱい人を好きになって、いっぱい嫌いになって、いっぱい怒って、いっぱい泣いて、いっぱい笑っていたい。
 

そうやって、いっぱいこの人生を満喫して死んでいけばいいのだ。

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JIRO整体物語記事

  ↓

第1話 四畳半と納豆と整体

第2話  整体院の開業と心身の反乱

第3話 死の不安、そして心身統合整体へ

第4話 JIRO整体の技術の作り方

第5話 「大いに生きる」

第6話 整体の技術のように「生きる技術」

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