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2014年9月26日 (金)

 回想の野口春哉 野口昭子著

         

 

野口晴哉 ”野口整体”の創始者であり、日本の東洋医学を代表する人と言っても過言ではありません。

野口氏は整体だけではなく、思想家でもあり、未だにたくさんの著名人へ影響を与えています。

本書は、野口氏の弟子でもあり、良き理解者でもあった夫人が書き記した回想記です。
ちなみに著者昭子氏は、政治家・近衛文麿(戦争を反対したにも関わらずA級戦犯となり、自死した)の長女です。

野口氏は、P47 「熱も、痛みも、嘔吐も下痢も、また風邪も、すべての人体の抵抗作用であり、蛇が皮を脱ぐのと同じ更新作用であり、古びた組織を改造 ~ 」とした生命観を打ち出しているように、人間本来持っている生命本能とも言う自然治癒力を活動させることが一番大切としています。

著書”風邪の効用”にも参考になると思います。

もちろんその考え方には賛否両論と別れたようですが、野口氏の超人的なエネルギーと、人間的魅力で多くの人に影響を及ぼしたようです。

私は野口氏のような一種の天才的カリスマな人を見ていると、何を言ったかではなく、だれが何を言ったかが、人の心を掴むことになるのだと思うのです。

そして、それをいくら学ぼうが、いくら努力しようが、このような超人的な人の真似はできない。と言うことに誰しも気づかされるのです。

ただ、野口氏は才能と運があっただけではなく、「9歳の頃に自殺しようと思ったことがある」と、夫人につぶやいたように、苦労の多い子ども時代を過ごしたことを本書で初めて知りました。その苦労から人間の心理を学び、そして才能が開花されたのです。

しかし野口氏本人はあまり自分の健康のことは考えていないような節もあります。

タバコをふかし、酒もブランデーからビール、日本酒とけっこう飲んでいらした感じです。本文中にもわりとわがままな性格ではないの?と思わせるところがあり、それがかえって野口氏の魅力となっているのでしょうけど、妻、昭子さんの支えがあったからこそ野口氏は思う存分仕事に専念でき持てる才能を思う存分発揮できたのだと思うのです。

P274 野口氏は生前、”現代人は理想を失った”と言っていた。どんな理想かというと、どういう死に方が理想かということを、現代人は全く忘れたということです。

生ききった者にだけ安らかな死がある

ここにすべての人生観が集約されていると思うのです。野口氏が求めていたのは、みみっちい健康論ではなく、死ぬための生。”全生”だったのです。

私も、いつしか”大いに生きる”と言う言葉を座右の銘にして、それを目標にしていたので、野口氏の心の軌跡が何となくわかるような気がしました。

野口氏は言っていました。”気力なくなると何をしても死ぬ”それが寿命だと謙虚に生きることも必要なんですよね。

東洋医学を代表する野口晴哉氏の私生活を記した本書は、ただの読み物として貴重な一冊というのではなく、超人的な才能の持ち主の、もう一つの一面を垣間見ることができたことが貴重でした。

昭子夫人の簡潔な文章は、余分なものを削って削って書ききった感があります。行間の間にたくさんの物語が秘められ読み手の想像力をかきたてられました。

ご夫婦ともさすがなんですよね。

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