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2018年3月 9日 (金)

外道クライマー  宮城公博著

 

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著者は、熊野神社の前にある那智の滝を登攀して逮捕されたリーダー格の一人である。

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この事実を受け入れるのか、そんなの許せないと拒否するのか。

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読者の人生観がはっきりと分かれるところです。

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もちろん私は、最後まで読むというか、むしろ読みた~い側の人間だということです。

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逮捕後、それこそ嫌がらせや苦情、会社まで解雇させられたように、著者の宮城氏の行為を許せないと思われる方は、そもそも本の題名に「外道」と書かれている時点でアウトな本。

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書店で間違っても手に取らないと思います。

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宮城氏は那智の滝でこそ売名行為と言われ、ひんしゅくをかいましたが、実は高度な技術を持つ沢やでもありクライマーでもあり冒険家でもあります。

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カラコラムでのクライミングから、本書でもタイのジャングル46日間沢登り、台湾最強の渓谷に登攀など、命がけの挑戦をし続けている本物のツワモノです。

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ただ、メジャーな登山家のような品性はありません。() 

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本書を読んでいて私は逆に好感がもてましたが、嘘でもいいから哲学めいたことを書いていれば、カリスマ冒険家として社会的に認知されるとおもうのですが、どちらかというと人間味があるというか、正直というか、NHK向きじゃない読者を楽しませる文章を書いています。

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解説ではやはり私の好きな登山者・冒険家の角幡唯介氏が、反社会性を内在させたむき出しの登山的道徳律を社会に対してぶつけてみたかったのではないか。と書いています。

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説明がうまいな~。

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宮城氏のどこか挑戦的文章はそういうことだったのか。とガッテンがいったのです。

 

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逮捕されてもめげずに沢やを続けているところが日本人らしくない打たれ強さ。

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そこに本当の意味での強さや哲学があるのかもしれません。

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たぶん、著者のような人は日本で生きるのは大変だと思います。

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いわゆる人間絶滅種です。

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だから日本にいてほしい。

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今の日本を言い表すと「不寛容」。

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こういう人が生きていけるうちは日本もまだ救いがあるのかなと思っています。

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